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[ユーザー事例]thinkingParticles: デジタル・フロンティア

Posted on 2012年2月7日 | [ユーザー事例]thinkingParticles: デジタル・フロンティア はコメントを受け付けていません。

「鉄拳」の世界を具現化する、複雑な崩壊と再生のエフェクトへの挑戦

「鉄拳 ブラッド・ベンジェンス」は、販売累計4,000万本の大人気格闘ゲームの「鉄拳」の長編フルCGの3D映画化作品。ゲームにも登場するシャオユウやアリサ、風間仁、三島一八など、シリーズが誇るお馴染みのキャラクターたちとオリジナルキャラクターの神谷真が登場する格闘アクション。格闘アクションだけにとどまらないエフェクト満載の映像は業界でも注目を浴びている。本作品は、株式会社デジタル・フロンティアの制作。同社が手がけたフルCG映画としては6作目だが、フルCGの立体視映画としては初作品になる。この作品では、制作スタッフとして110名程が関わっているが、今回その中からエフェクトを務めたシニア・デザイナーの小宮桂陽氏とデザイナーの伊藤源氏にお話を伺った。

株式会社デジタル・フロンティア
http://www.dfx.co.jp/
2000年に設立され、劇場用映画やTV、ゲームなどの映像を手がける大規模CGプロダクション機能をもった映像制作会社。アジア最大級のモーションキャプチャースタジオ 「オパキス」を所有し、台湾やマレーシアにも関連会社を持つ。現在、同社には約230名が在籍しており、内160名程がCGの部署で働いており、CGスタッフも多数募集している。
シニア・デザイナー
小宮桂陽氏
デザイナー
伊藤源氏

エフェクトツールとしての3ds Max

デジタル・フロンティアでは、CGのメインツールとしてMayaを使っているが、エフェクトに関しては、使いやすいということで、最近では3ds maxも増えていると小宮氏は語る。 「エフェクトチームでは、3ds Maxもドンドン使っていて、使用の割合も50:50の割合に増えてます。その中でプラグインのthinkingParticlesは、ずっと存在は知っていたんですが、使うきっかけはありませんでした。ただ、テストしてみた結果、鉄拳のエフェクトで使ってみようという流れになりました」

今回、thinkingParticlesが使われたところは、ラストで登場するキャラクターの崩壊や再生が行われるシーン。

「小さいオブジェクトの集合体で構成されているこのキャラクターが、徐々に崩壊されていくのですが、試してみるとMayaで作るのは難しいことがわかりました。Mayaでもキャラクターオブジェクトのサーフェイス上に物体を配置するのは簡単なのですが、内部までオブジェクトが詰まったボリュームを持たせた集合体である必要があったんです」(小宮氏)

キャラクターが普通に動くシーンは、Mayaで作られているという。しかし、内部までオブジェクトが詰まったキャラクターの腕などが崩壊するシーンは、オブジェクトをサーフェイスに配置する手法だけでは対応できないので、別のツールを探すことになった。

「SoftimageのICE、Houdiniなど色々なエフェクトツールを検討しました。ただ、それらのツールを使えるデザイナーが社内にいてもエフェクトに強くなかったりで実現するのは難しかったのです。そこで使い慣れた3ds maxのプラグインであるthinkingParticlesが候補にあがりました」(小宮氏)

リサーチ時にさまざまなリファレンスを探していた小宮氏は、thinkingParticlesで作成されている作品として、デュラセルのCMのBunny Fusionという作品をネット上で見つけた。小さなうさぎが大量に集まって、色々な形に変形するエフェクトは、鉄拳で行おうとしていたものと似ていることもあり、thinkingParticlesで行けるのではないかと考え、導入が決定した。

 

1週間でテストカットが完成

導入してから、まずチュートリアルやサンプルを大量に見ていったという小宮氏。cebasのサイトにチュートリアルが大量にあり、それは無料で見ることができる。また、海外のサイトでは、チュートリアルが多数ありそれも役立ったそうだ。

「偶然、サンプルファイルに似ているシーンがあったので、それを参考に1万体の木人の集合体で作った手が崩壊するテストシーンを1週間ほど作り、監督から方向性のOKをもらいました」


リアルな破壊エフェクトとしての二次破壊の表現

「たとえば、腕が崩壊するカットは、腕のオブジェクトのボリュームに木人をパーティクルで発生させて、腕の形にします。そこに、ダミーの球体がぶつかると、木人一体一体が崩れていくようにしています。パーティクル数は、足で7,000、腕はその倍くらい使用していますが、とても軽くシミュレーションできました。足のカットでは、リジットボディのダイナミクスも加えて、さらに小さな木人も壊れるようにしています。その結果、シミュレーションは重くなりましたが、木人が崩れるだけのエフェクトよりも、よりリアルに見えるようになりました。また、監督からはスケール感を大事にして欲しいということで、バラバラと崩れるのではなく、最初に大きな塊として崩れたものが、さらに壊れるような二次破壊の表現も入れています」(小宮氏)

こうした二次破壊の表現ができる点もthinkingParticlesの強みだという。

アセット化によるエフェクトの流用

「thinkingParticlesは、難しいと思っていましたが、一度アセットを作るとそれを流用できる点がとても便利です。

FXテクニカル・ディレクターが、 複雑なノードの組み合わせのアセットを作成すれば、あとはデザイナーがオブジェクトの差し替えやパラメータをいじるだけで、複雑なエフェクトが作成できます。」(小宮氏)

アセット化することによってデザイナーの負担が減ったと伊藤氏は語る。

 

「腕の再生は、腕の内部にエミッタを仕込み、それが徐々に腕の形になって行くように見せるため、非表示のダミーオブジェクトで、再生されるタイミングを調整しています。また、腕のパーツが、崩壊した足の再生パーツになるようなシーンでは、特定の条件で木人を腕のパーティクルグループから足のパーティクルグループに切り替わり、足のボリュームへ移動するアセットを組んでいます。
鉄拳で構築したアセットやノウハウは今後も資産として別のプロジェクトにも活かせると思います。」(伊藤氏)

「ルールベースなので、たとえばキャラクターが走って、地面に足が着いたときに葉っぱが舞ったり、砂煙を出したりするエフェクトも、ルールを設定したアセットがあれば、キャラクターの動きが変わってもエフェクトはそれに合わせて自動的に変更してくれます。」(小宮氏)

 

今後について

デジタル・フロンティアにとって、本来メインツールであるMayaではなく、3ds MaxとthinkingParticlesによるエフェクトは、レンダリングの質感や、カメラの違いを合わせる必要があるため、決して簡単なワークフローではないが、使用頻度は増えているという。現在制作中のプロジェクトでも使用しており、thinkingParticlesのライセンスも増やす予定だ。

最近、レンダラーとしてfinalRenderにも興味があるという。

「テストしてみましたが、FumeFXとの相性がいいですね。FumeFXの炎などがfinalRenderだときれいに反射されるので、現在体験版でテストしています」(小宮氏)

現在、デジタル・フロンティアでは、CGデザイナー、プロダクションマネージャー、テクニカルディレクター、キャプチャースタッフなど様々な業種でスタッフを募集している。興味のある方は、デジタル・フロンティアのサイトを確認の上、応募してほしい。

 

作  品:鉄拳 ブラッド・ベンジェンス
監  督:毛利陽一
脚  本:佐藤 大
映像制作:株式会社デジタル・フロンティア

© 2011 NAMCO BANDAI Games Inc.

 

 

 

 

 

 

 

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